マンションの購入の際には、立地や間取りは重要な要素だが、毎月支払い続けるお金、つまり、管理費や修繕積立金にも注意を払うべきである。内容的に適切か否かが重要であり、駐車場使用料の扱いが大きな目安となる。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)
マンション購入で“決め手”となる主な条件は、立地条件、間取り、価格などだが、それらとともに考えなければならないことがある。
それは、入居したら毎月払い続ける管理費や修繕積立金だ。通常この毎月の支払いは、日常の管理や共有部の電気水道代、掃除費用、管理会社に支払われる管理委託費などに使われる「管理費会計」と、大規模修繕工事などのための「積立金会計」の2本立ての会計となっている。
単純に月々の支払いが高いか安いかだけを見たら失敗する。問題は内容が適切かどうかなのだ。今回は、その良し悪しを、その「バロメーター」の一つとなる、駐車場使用料の扱いを中心にお伝えする。
● 高い管理費にはムダがある! 安い管理費にはウラがある!
実際のサービスに比べて高い管理費を払い続けるなら、見た目の販売価格より相当高い、「コスパの悪い」買い物をすることになってしまう。
かといって、安ければいいということでは決してない。
販売会社は売りやすくするために、とにかく最初の管理費と積立金を安く設定するものだということを肝に銘じておきたい。安い管理費、修繕積立金は決して顧客本位の経営努力の結果などではなく、見せかけにすぎない。それはやがて「現状に合わせて値上げしましょう」という形で正体を現すこととなるだろう。
新築マンションでは、数年後には値上げ提案が出されることがほとんどだ。購入する側も仕方のないことだと考えている人が多い。しかし、管理委託費の方は逆に必要以上に高く設定されていることが多いので、購入後に、住民が管理組合のイニシアチブをとって、管理会社の変更や長期修繕計画の見直しなどで圧縮すれば、その分を修繕積立金に振り替えられる可能性は大きい。私たちシーアイピーは、そのようなコストダウンのお手伝いを業務としてさせていただいている。
そこで、「うちのマンションの管理費、修繕積立金は妥当でしょうか?」という質問がよく当社に寄せられる。それは「区分所有者が管理組合に支払っている管理費と修繕積立金は、高過ぎず、安過ぎず、必要十分か?」ということだが、まずここでは「管理費」と「管理委託費」の言葉を分けて考えたい。
「管理費」は区分所有者が管理組合に支払うコストで、「管理委託費」は管理組合が管理会社に支払うコストだ。結論から言えばほとんどの場合、「管理委託費」が高過ぎる状態で、「管理費」は安く設定されているケースが多く、そして「修繕積立金」が圧倒的に不足している。
● 修繕積立金値上げ、一時金徴収に見舞われないために 既存マンションの修繕積立金はここを見る
「修繕積立金」のチェックについては、長期修繕計画書を見せてもらうことから始めよう。それに加えて、初期と直近の積立金会計を見れば正しい診断ができる。
本連載で取り上げてきたように、管理組合が主体的に活動していて管理会社の言いなりにならないマンションなら、当初の設定に問題があっても、既に見直しがなされ、ある程度値上げされているだろう。そうであれば、今後「修繕積立金」の値上げや一時金の徴収などといった事態は起こらない「買い」のマンションだ。
しかし、管理会社に“丸投げ”の管理組合なら要注意。購入した途端に大幅値上げや一時金徴収などということが起こりかねないからだ。
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